「投資を始めたいけど、何から手をつけていいかわからない」という声は、周りの友人からも頻繁に聞こえてきます。筆者が投資を始めたのは28歳の頃で、最初は本当に何もわからないまま証券口座だけ開設し、しばらく放置していました。今思えば、最初にやるべきことの順番さえ知っていれば、もっと早く行動できていたと感じます。この記事では、投資初心者が最初にやるべき5つのことを、筆者の失敗談も含めて解説します。この記事は筆者個人の見解であり、投資助言を目的とするものではありません。
やるべきこと1:生活防衛資金を確保してから始める
投資の前にまず確認すべきなのは、生活防衛資金(緊急予備資金)の有無です。これは「万が一のときに生活を維持できる現金」のことで、一般的には生活費の3〜6か月分が目安とされています。
なぜ投資より先に防衛資金が必要か
投資資産は価値が変動します。突然の失業・病気・家電の故障など緊急時に投資資産を売却せざるを得ない状況になると、「相場が暴落しているタイミングで売らなければならない」というケースが起こりえます。これは投資における最悪のシナリオのひとつです。
筆者は投資を始めた翌年に転職活動で収入が一時的に減り、緊急の出費も重なりました。そのとき生活防衛資金を別に確保していたため、投資口座には一切手をつけずに済みました。逆に、防衛資金なしで投資を始めていたら、暴落中に売却を余儀なくされていたかもしれません。
防衛資金の目安
| 生活費/月 | 3か月分 | 6か月分 |
|---|---|---|
| 15万円 | 45万円 | 90万円 |
| 20万円 | 60万円 | 120万円 |
| 25万円 | 75万円 | 150万円 |
| 30万円 | 90万円 | 180万円 |
防衛資金は普通預金または流動性の高いネット銀行の高金利普通預金に置いておきましょう。投資口座に入れてはいけません。
やるべきこと2:リスクとリターンの基本概念を理解する
投資の世界では「リスク」は一般的な意味(危険)とは少し異なり、「将来の価値の不確実性(ぶれ幅)」を指します。リターンが高い資産はリスクも高く、リスクが低い資産はリターンも低い——これが投資の基本原則です。
主な資産クラスとリスク・リターンの関係
| 資産クラス | リスク(価格変動の大きさ) | 期待リターン(長期概算) | 特徴 |
|---|---|---|---|
| 預金(普通・定期) | ほぼなし | 0〜0.1%程度 | 元本保証。インフレには弱い。 |
| 国内債券(国債等) | 低 | 0〜1%程度 | 比較的安定。金利変動の影響あり。 |
| 先進国債券 | 低〜中 | 1〜3%程度 | 為替リスクが加わる。 |
| 国内株式 | 中〜高 | 4〜6%程度 | 日本経済の成長に連動。 |
| 先進国株式(全世界) | 中〜高 | 5〜7%程度 | グローバル分散。長期実績が良い。 |
| 新興国株式 | 高 | 5〜10%程度(変動大) | 高成長期待だがリスクも大きい。 |
| REIT(不動産投資信託) | 中〜高 | 4〜6%程度 | 分配金が定期的に出る。 |
期待リターンはあくまで過去の統計的な傾向であり、将来を保証するものではありません。特に短期では大きく変動します。長期投資ほど「平均への回帰」が働きやすいという統計的な性質があります。
自分のリスク許容度を知る
リスク許容度とは「どれだけの損失に耐えられるか」を表します。以下の問いを自分に投げかけてみましょう。
- 100万円投資して30万円(30%)含み損になっても売らずにいられるか?
- 投資期間は何年先を想定しているか?(短いほどリスクは下げるべき)
- 毎月の収入から安定的に積み立てられる余裕資金はどれくらいか?
投資期間が長い(20〜30年など)場合、短期的な暴落を乗り越えやすいため株式比率を高めにできます。投資期間が短い(5年以内)場合は元本変動リスクを下げるべきです。
やるべきこと3:分散投資の原則を実践する
投資の世界では「卵を一つのかごに盛るな」という格言があります。一つの資産・銘柄・地域に集中投資するのではなく、複数に分けることでリスクを軽減するのが分散投資です。
分散の3つの軸
分散投資には大きく3つの軸があります。
- 資産分散: 株式・債券・REIT・現金など異なる資産クラスに分ける
- 地域分散: 日本・米国・欧州・新興国など異なる地域に分ける
- 時間分散(ドルコスト平均法): 一度に全額投資せず、毎月・毎週など定期的に買い続ける
ドルコスト平均法の効果
時間分散(ドルコスト平均法)は、定期的に一定金額を購入する方法です。価格が高いときは少ない口数を、価格が低いときは多い口数を購入できるため、平均取得コストを下げやすい特性があります。
| 月 | 投資金額 | 基準価額(円) | 購入口数 |
|---|---|---|---|
| 1月 | 10,000円 | 10,000円 | 1口 |
| 2月 | 10,000円 | 8,000円 | 1.25口 |
| 3月 | 10,000円 | 7,000円 | 1.43口 |
| 4月 | 10,000円 | 11,000円 | 0.91口 |
| 合計 | 40,000円 | 平均9,000円 | 4.59口 |
上記の例では、一括で最初に全額投資した場合(基準価額10,000円で4口)より、毎月積み立てた場合の方が平均取得単価が下がっています。これが積立投資の強みです。
ただしドルコスト平均法が一括投資より有利かどうかは、相場の状況次第です。右肩上がりの相場では一括投資の方がリターンが高くなることもあります。重要なのは、価格変動リスクを時間的に分散することで精神的な安定と継続性を保てる点です。
やるべきこと4:複利効果を理解して長期投資の威力を知る

複利とは、運用益を元本に組み入れて再投資することで、利益が利益を生む仕組みです。アインシュタインが「人類最大の発明」と呼んだとも言われる(出典は不確かですが)複利は、長期投資において最大の武器になります。
単利と複利の違い(シミュレーション)
| 年数 | 元本100万円・年率5%(単利) | 元本100万円・年率5%(複利) |
|---|---|---|
| 10年後 | 150万円 | 163万円 |
| 20年後 | 200万円 | 265万円 |
| 30年後 | 250万円 | 432万円 |
| 40年後 | 300万円 | 704万円 |
※税金考慮なし・仮定のシミュレーションです。将来の投資成果を保証するものではありません。
100万円を単利5%で運用すると40年後に300万円ですが、複利5%だと約704万円になります。差は404万円。これが時間の力(時間的複利)です。
毎月積立の場合(月3万円・年率5%・複利)
| 積立期間 | 積立元本合計 | 運用後の資産額(概算) | 運用益 |
|---|---|---|---|
| 10年 | 360万円 | 約466万円 | 約106万円 |
| 20年 | 720万円 | 約1,233万円 | 約513万円 |
| 30年 | 1,080万円 | 約2,495万円 | 約1,415万円 |
※年率5%は仮定値です。実際の投資結果は市場環境により大きく異なります。
月3万円を30年間積み立てた場合、元本1,080万円に対して運用後の資産は概算で2,495万円になります。早く始めるほど複利の効果が大きくなるのが分かります。筆者が「もっと早く始めればよかった」と感じる最大の理由がこれです。
やるべきこと5:投資初心者がやりがちな失敗を先に知る

投資で失敗する多くのケースには共通したパターンがあります。先に知っておくことで同じ轍を踏まずに済みます。筆者自身が経験したこと、また周囲の投資仲間から聞いた失敗談も含めてまとめます。
失敗1:短期で売買を繰り返す
「もう少し上がったら売ろう」「暴落したから売って損切りしよう」という感情的な売買は、コストが増え成績が悪化する典型的な失敗です。投資経験の浅い頃は特に「相場を読んで短期で儲けよう」という誘惑に駆られますが、これは機関投資家でも難しいことです。
筆者も30歳頃に個別株で短期売買を試みて失敗した経験があります。結果的にコストと精神的なストレスだけが増え、インデックスファンドを放置していた口座の方がずっとパフォーマンスが良かったという結末でした。
失敗2:高騰している資産に飛びつく
「周りが話題にしているから」「急騰しているから」という理由で買うのは危険です。多くの場合、話題になる頃には価格がすでに高騰しており、その後下落するパターンがあります(過去のビットコイン急騰・急落、特定テーマ株の急騰後などが典型例)。
失敗3:一括投資のタイミングを計ろうとする
「今が底かどうか」「もっと下がってから買おう」と考えているうちに投資機会を逃し続けるケースです。相場の底を確実に当てられる人は存在しません。「今すぐ少額から始めて積み立てる」方が、タイミングを計り続けるより結果として良いことが多いという研究結果があります(筆者個人の解釈です)。
失敗4:分散をせずに集中投資する
一つの銘柄・業種・地域に全資産を集中させるのは高リスクです。特定の国の株式だけ、特定の企業の株式だけに集中すると、その国・企業に固有のリスクをすべて引き受けることになります。インデックスファンドへの投資は自動的に数千銘柄への分散になるため、この点で初心者に向いています。
失敗5:リスク許容度を超えた投資をする
「老後のためだから20〜30年は使わない」と言いながら、実際に大きな含み損が出ると眠れなくなる方は少なくありません。自分のリスク許容度を冷静に判断し、それに合った資産配分にすることが継続の鍵です。筆者も最初は株式100%で始めたものの、2022年の相場下落で予想以上に不安を感じ、一部を債券ファンドに切り替えた経験があります。
まとめ:投資を始めるための5ステップ再確認
投資初心者が最初にやるべきことを改めて整理します。
- 生活防衛資金を確保する(生活費3〜6か月分を現金で持っておく)
- リスクとリターンの基本を理解する(ハイリターンはハイリスク、自分の許容度を把握)
- 分散投資を実践する(資産・地域・時間の3軸で分散)
- 複利の力を活かして長期投資する(早く始め、長く続けるほど効果が出る)
- よくある失敗を先に学ぶ(感情的な売買・集中投資・相場予測への執着を避ける)
これらを実践するもっとも簡単な方法は、NISAのつみたて投資枠で低コストのインデックスファンドを毎月積み立てる設定を入れて、あとは放置することです。難しい知識も大きな資金も最初は必要ありません。月1,000円からでも始められます。
投資の基礎を理解したら、次は実際に口座を開いて始めてみましょう。以下の記事で具体的な手順を解説しています。
- 新NISAの始め方完全ガイド|口座開設から銘柄選びまで
- SBI証券の口座開設手順を画像付きで解説
- iDeCoの始め方ガイド|節税効果とおすすめ金融機関を比較
- つみたて積立投資枠の実績を公開|3年間の運用成績と銘柄選び
※この記事は情報提供を目的としており、投資助言には該当しません。シミュレーションはあくまで参考値であり、将来の投資成果を保証するものではありません。投資は元本保証ではなく、損失が生じる可能性があります。投資判断はご自身の責任で行ってください。