「株式投資を始めたいけれど、何から勉強すればいいか分からない」という方は多いです。筆者が株式投資を始めたのは投資信託の積立を1年ほど続けた後のことで、最初は少額から個別株の売買を試みました。最初の半年は利益より損失の方が多く、銘柄の選び方や売買タイミングの考え方を一から学び直した経験があります。この記事では、その経験をもとに株式投資の基礎から実践的な銘柄選びの方法まで解説します。なお、この記事は情報提供を目的としており、投資助言には該当しません。
株式投資の基本:株とは何か
株式とは、企業が資金を調達するために発行する証券です。株式を購入することで、その企業の「株主」となり、出資比率に応じた権利を持ちます。主な株主の権利は以下の通りです。
- 配当金:企業が得た利益の一部を株主に分配する
- 株主優待:企業独自のサービス・商品・割引券などを受け取れる
- 議決権:株主総会で経営に関する議決に参加できる
- 残余財産の分配:企業清算時に残った財産の分配を受ける
株式投資の主な収益は「キャピタルゲイン(値上がり益)」と「インカムゲイン(配当金・優待)」の2種類です。買ったときより高い株価で売れればキャピタルゲインが得られ、保有している間は配当金や優待でインカムゲインが得られます。
投資信託との違い
| 比較項目 | 個別株 | 投資信託(インデックス) |
|---|---|---|
| 最低投資額 | 数百円〜数十万円(銘柄によって異なる) | 100円から |
| 分散効果 | 1銘柄ずつ(自分で分散する必要あり) | 自動的に数十〜数千銘柄に分散 |
| コスト | 売買手数料(ネット証券では実質無料化も) | 信託報酬(年率0.05%〜) |
| 学習コスト | 高い(企業分析が必要) | 低い(銘柄選びは最初だけ) |
| リターンの可能性 | 大きいが不確実性も高い | 市場平均に連動 |
| 楽しさ | 企業研究の楽しさがある | ほぼ放置でいい |
投資初心者には、まず投資信託(インデックスファンド)を積立で始め、余裕資金と学習意欲が高まってから個別株に挑戦するというステップが合理的です。個別株は投資信託より難しい反面、企業研究の楽しさや大きなリターンの可能性もあります。経験から言えることは、投資信託で「相場の上下に慣れる」期間を半年から1年ほど設けてから個別株に進むと、冷静な判断がしやすくなるということです。
株式投資の始め方:口座開設から初回購入まで

ステップ1:証券口座を開設する
株式投資を始めるには、まず証券会社で口座を開設する必要があります。ネット証券(SBI証券・楽天証券など)は手数料が低く、スマートフォンやPCから取引できるため初心者にも向いています。口座開設は無料で、最短で翌営業日から取引を開始できます。
証券口座の開設方法はSBI証券の口座開設手順や楽天証券の口座開設ガイドを参考にしてください。
ステップ2:投資資金を入金する
口座開設後、銀行口座から証券口座に資金を移します。SBI証券では住信SBIネット銀行経由で即時入金ができます。最初は少額(数万円程度)から始めることをお勧めします。
ステップ3:注文方法を理解する
株式の注文方法には主に「成行注文」と「指値注文」があります。
| 注文方法 | 概要 | メリット | デメリット |
|---|---|---|---|
| 成行注文 | 現在の市場価格で即時売買 | 確実に約定する | 想定外の価格になる可能性 |
| 指値注文 | 指定した価格で売買(その価格でないと約定しない) | 希望の価格で取引できる | 指定価格にならないと約定しない |
| 逆指値注文 | 指定した価格に達したら自動で成行注文 | 損切り・利確の自動化 | 取り扱い証券会社に制限あり |
| 引成注文 | 引け(15:00)の価格で成行注文 | 終値を基準に売買できる | 終値まで待つ必要がある |
初心者には、少し高めの指値を設定して購入する「指値注文」がお勧めです。成行注文は確実に約定しますが、急激な値動きがあると想定外の価格で約定することがあります。
株式の銘柄分析:基本指標を理解する

個別株を選ぶ際には、企業の財務状況や株価の割安・割高を判断する指標を理解することが重要です。代表的な指標を解説します。
PER(株価収益率)
PER(Price Earnings Ratio)は、株価が1株あたりの利益(EPS)の何倍かを示します。PER = 株価 ÷ 1株あたり純利益
PERが低いほど「利益に対して株価が割安」とされています。日本の上場企業の平均PERはおおむね15〜20倍程度とされていますが、業種によって適正水準が異なります。成長が期待される企業ではPERが高くても買われる場合があります。
PBR(株価純資産倍率)
PBR(Price Book-value Ratio)は、株価が1株あたりの純資産(帳簿価額)の何倍かを示します。PBR = 株価 ÷ 1株あたり純資産
PBRが1倍を下回る場合、「会社を清算した場合の価値より株価が低い」という状態で、割安と判断されることがあります。ただしPBRだけで投資判断することは危険で、低PBRでも業績が悪化していたり成長性がなかったりする場合があります。
配当利回り
配当利回りは、購入価格に対して年間にどれくらいの配当金が得られるかを示します。配当利回り = 年間配当金 ÷ 株価 × 100(%)
例えば、株価2,000円の企業が年間100円の配当を出す場合、配当利回りは5%になります。高配当株(配当利回り3%以上が目安)は安定したインカムゲインを得たい長期投資家に人気があります。
ROE(自己資本利益率)
ROE(Return on Equity)は、企業が自己資本(株主資本)を使ってどれだけ効率的に利益を生み出しているかを示します。ROE = 純利益 ÷ 自己資本 × 100(%)
一般的にROE 10%以上が優良企業の目安とされています。ROEが高い企業は資本を効率的に活用しており、株主への還元も大きくなりやすいです。
| 指標 | 計算式 | 一般的な目安 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| PER | 株価 ÷ EPS | 15〜25倍が平均的 | 業種によって大きく異なる |
| PBR | 株価 ÷ 1株純資産 | 1倍以下は割安の可能性 | 業種特性を考慮する必要あり |
| 配当利回り | 年間配当 ÷ 株価 | 3%以上で高配当とされる | 業績悪化で減配のリスクあり |
| ROE | 純利益 ÷ 自己資本 | 10%以上が優良の目安 | 借入金が多いと高くなりやすい |
銘柄の選び方:初心者向け実践アプローチ

自分がよく知っている業界から始める
筆者が最初に個別株を選ぶ際に実践したのは「自分がよく利用しているサービスや製品を提供している企業の株を選ぶ」というアプローチです。例えば、毎日使っているアプリを提供する企業、よく買う消費財を作るメーカー、お気に入りの飲食チェーンなど、消費者の視点で「この会社はこれから伸びそうだ」と感じる企業に注目することから始めました。
自分が詳しい業界の企業なら、決算資料や業績説明会の内容も理解しやすく、長期保有の判断もしやすくなります。
業績と財務健全性を確認する
銘柄を選んだら、その企業の過去3〜5年の業績推移を確認しましょう。売上高・営業利益・純利益が右肩上がりであれば成長している証拠です。また、有利子負債(借入金)が多すぎないか、自己資本比率(一般的に40%以上が健全とされる)も確認します。
配当の継続性を確認する
配当金を目的に株を選ぶ場合は、過去に減配(配当を減らすこと)がなかったかを確認することが大切です。業績が悪化した時に配当を維持できる財務体力があるかも判断材料になります。
リスク管理:損失を限定する考え方

分散投資でリスクを下げる
個別株に投資する場合、複数の業種・複数の銘柄に分散することでリスクを下げられます。1つの銘柄に資産の大半を集中させると、その企業が不祥事や業績悪化に見舞われた場合のダメージが大きくなります。目安として1つの銘柄に投資総額の20〜30%を超えて集中させないことを意識しましょう。
損切りラインを事前に決める
筆者が最初に苦労したのは「含み損が出ても売れない」という状況でした。買った株が下がり続けると「もう少し待てば戻るはず」という心理が働き、損失が拡大してしまいます。購入前に「ここまで下がったら売る」という損切りラインを決めておくことで、感情的な判断を防げます。
余裕資金で投資する
生活費や緊急時の備えは株式投資に回してはいけません。直近3〜6ヶ月分の生活費は現金で確保した上で、それを超えた余裕資金で投資することが基本です。必要な時にすぐ換金できる現金を持っておかないと、最悪のタイミング(底値)で株を売らざるを得ない状況になります。
NISAで株式投資を始める方法
成長投資枠で個別株を購入する
新NISAの成長投資枠(年間240万円まで)では、個別株やETFも非課税で購入できます。本来20.315%かかる売却益・配当金への税金が非課税になるため、長期保有の個別株投資にも非常に有利です。
配当金も非課税になる
NISA口座内で保有している株から受け取る配当金も非課税になります(配当金を非課税にするには「株式数比例配分方式」を選択する必要があります)。高配当株を長期保有する投資スタイルには特に有効です。詳しくは高配当株投資入門の記事をご覧ください。
初心者が避けるべき失敗パターン
- ニュースや噂話だけで売買する(情報の質を確認する習慣をつける)
- 短期売買(デイトレード)に手を出す(初心者には難しく損失リスクが高い)
- 信用取引(レバレッジ)を最初から使う(元本以上の損失が出る可能性がある)
- 1銘柄に集中投資する(リスク分散ができていない)
- 損切りができずに含み損を放置し続ける
株式投資は投資信託より高い学習コストが必要ですが、企業研究の面白さや個別銘柄への集中投資による高いリターンの可能性も魅力です。まずPER・PBR・配当利回り・ROEなどの基本指標を理解し、自分がよく知っている業界の企業から少額で始めることをお勧めします。
株式投資と並行して、新NISAでのインデックスファンド積立も継続することで、資産の安定性とリターンのバランスを取ることができます。
- 高配当株投資入門|配当利回りで選ぶおすすめ銘柄と注意点
- 投資信託の選び方ガイド|初心者が失敗しないための5つのポイント
- 新NISAの始め方完全ガイド|口座開設から銘柄選びまで
- 投資初心者が最初にやるべきこと5選
※この記事は情報提供を目的としており、投資助言には該当しません。株式投資には元本割れのリスクがあります。投資判断はご自身の責任で行ってください。